グループを解散させた少女は、その持ち前の行動力から、
周防院蓮華の通う学園へすぐに転入を済ませた。
それから授業中以外は、周防院蓮華のそばにずーっとついている。
「お頭っ! チョココロネ買ってきたよ!」
「頼んでねーし……っていうか、お頭とか呼ぶなよ、お前はあたしの舎妹じゃないだろ」
「舎妹じゃないってことは……じゃあ、友達ってこと?」
「ととと、友達とかっ!? そ、それこそねーよっ! 友達になるってのは、その……」
「むぅー、じゃあ舎妹でいいからー! ねっ、お頭♪」
「あー、もう……勝手にしろ……」
そう言いながら、周防院蓮華は少女の買ってきたチョココロネをひったくった。
素直じゃない彼女、そういうところも、少女の好きなところだ。
「舎妹になったってことはぁ、あたしも名前変えなきゃねー」
「はぁ? 別にそんなことする必要ないだろ」
「必要あるの! そうだなぁ、お頭が周防院蓮華だからぁ……周防院英璃華にしようかな!」
そう言うと少女は自分のスマートフォンに名前を入力していく。
「英璃華の華は、お頭の周防院蓮華の華と一緒なんだよー。これなら、あたしがお頭の一番の舎妹だって、みんなわかるよねー」
「……ふ、ふんっ、あたしはその名前で呼ばないからな!」
「えー、なんでー! あっ、そっか、お頭とあたしはもっと親密な関係だからぁ……」
「そんなんじゃねーし!」
調子に乗った少女に、周防院蓮華の蹴りが入る。
それは、以前ケンカしたときとは比べものにならないくらい、優しいものだった。
Episode.2 『影那と舎妹と名前』 〜fin〜