●Episode.2 『影那と舎妹と名前』
 集団の先頭に立っていた少女、彼女は関東を仕切る大きなグループの
リーダーだった。
 かわいらしい風貌に、流行のファッションを身にまとう少女を見ただけでは、
リーダーとは想像できないだろう。
 本人も望んでリーダーになったわけじゃなく、ポテンシャルの高さと人望から、いつのまにかその位置に納まっていた。
 快楽主義と言うと大袈裟だが、要は楽しいことを中心に据えた考え方で、趣味に遊びにと、いまを本気で生きている女の子だ。
 そんな少女が、周防院蓮華と出会ったのは、仲間と一緒にダンスの練習をした帰りだった。
 メンバーの一人から、ガンをつけたつけてないでケンカになり、応援に来て欲しいとのメールが入ったのだ。
「めんどいなぁ……行かなきゃダメなの?」
「だって、グループの仲間がやられたんだよ!」
「ケンカなんでしょ? 自業自得じゃん」
 渋る少女を、仲間が半ば無理矢理現場へ連れて行く。
 そこにいたのは、薄明かりに銀髪を輝かせた、一人の少女、周防院蓮華だった。
「仲間を連れてきたのか……めんどくせぇな……」
「本当だよねぇ……でも、来ちゃった以上、グループ的にもほっとけないからさー。やられちゃってくれる?」
 相手は銀髪一人、こちらは大勢。
 少女自身も、ダンスで鍛えた身体能力には自信があったし、負ける理由なんてなかった。

 数分後、倒れ伏したのは少女たちのグループのほうだった。
 少女の得意だった足技は、それに勝る周防院蓮華の技で、文字通りあっけなく一蹴された。
 そこからだ、少女が周防院蓮華に興味を持ち始めたのは。